詩人:虚空 | [投票][編集] |
煙草を手に取り火をつけて
煙という名の盾を作る
人を寄せ付けない
自分だけの空間が
そこには広がる
ここだけが僕の時間
ここだけが僕の世界
誰にも邪魔をされない
時間の止まった世界
ニコチンが肺に溶けて
無駄な思考が消えていく
日常の細々した悩みから
唯一解き放たれる瞬間
無の時間
無の境地
しかし
この盾は
あまりにも脆く
あまりにも儚い
盾が消えた後の虚無感は
僕を地獄の果てへと
引きずり落としていく
結局逃げてるだけ
結局見てないだけ
いくら盾を纏おうと
それらを打ち破ることは
決して、ない
打ち破るのに必要なのは
盾ではなく矛なのだ
そんな事は解り切っている
だが、矛を持つ強さは
まだ自分にはない
そして僕はまた
煙草を手に取り火をつけて
煙という名の盾を纏い
自分の殻に籠るのだ