詩人:ハト | [投票][編集] |
切って
貼る
時々
何かを描いてみる
今は
誰かから借りてきた素材でも
貼り重ねていけばいつか
自分だけの作品になるかしら
私だけのコラージュ
空白はまだ埋まらない
まだ足りない
今はまだ
製作途中なのです
空白にコラージュを
私だけのコラージュを
詩人:ハト | [投票][編集] |
落ちてくる雨水の
着水地点は
緩やかに広がる
波紋でありました
流れ出ることもなく
流れ出そうとすることもなく
ただ
緩やかに波打つ
一つの接点でありました
たりらりら、
たりらりら、
るりるりるり、
広がってゆくのです
鼓動の早さで
らりらりら、
らりらりら、
ふぃりりりりり、
てぃりりりりり、
音楽 音楽 音楽
けむる
けむる
あめのやま
あめのもり
あめのはやし
あめのまち
色とりどりの傘広げて
帰っていく子どもたち
それは鼓動の早さで
落ちてくる雨粒の
着水地点は
緩やかに広がる水面でした
詩人:ハト | [投票][編集] |
あなたでないなら
不意に顔をあわせても
驚いて
再会を喜ぶことが出来るのです
笑ってやって下さいな
あなたを見ると
私は他人になってしまうのです
眼鏡が意外に
お似合いなのですね
煙草をお吸いになるのですね
髪の毛はまだ
黒のままなのですね
スーツがよく似合っておられます
嗚呼、今、私の横を
詩人:ハト | [投票][編集] |
弾けたシャボンの飛沫を
手の甲で拭う
意図して放たれた言葉は
どれも安っぽく感じるのさ
琴線は振るわない
掻き鳴らしてくれる手が
見当たらない
探し出せない
探しに行こうとも思えず
今日もまた
シャボンの飛沫を拭う
何時か
琴線が振るう日を待つ
見上げた曇り空
視界を横切るシャボン
どこまでも飛んで行け
詩人:ハト | [投票][編集] |
すれ違った風圧で
舞い上がる春の名残に
常に変わり行く季節を見
いつか見た景色と比べて
変わらないわたしを思い出す
そして
思いだし
比べる事で
やっと
今あるものを見ることが
できる
いや、
そうしなければそこに
辿り着けないと言うべきか
すれ違って
舞い上がる
積もりに積もって蓄積された
何か
払い落とすべきなのか
大事に掻き集めるべきなのか
吹き溜った
今はもう終わった季節に
また
思い出を重ねている
また巡るまで、さよなら
次に会うのはまた
比べる時に
その時わたしはまた
同じ事を思うのだろうか
詩人:ハト | [投票][編集] |
祖母が山椒を摘んできた
庭山椒は固いからと
わさわざ山へ行ったらしい
葉山椒を
ビニールシートに広げて
すぐる姿も恒例になり
広がる醤油と山椒の香り
いつから美味しいと
思うようになったのだったか
今年は
腐らせずに済みますように
詩人:ハト | [投票][編集] |
自分のことばかり
ごめんなさいね
貴方への愛を
綴っている訳ではないわ
ただの感想文と思って下さい
先生が採点するように
厳しい目で見ていて下さい
そうね、自分のことばかり
だって分からないんだもの
恋したかったのは一度だけ
貴方以上に
見つめたくなる人がいなかったの
こなれた人は
子どもだと笑うのだけれど
そうね
貴方が好きだったの
詩人:ハト | [投票][編集] |
ほら、ごらん
祭りの夜が終わるよ
幼い私達が
家に帰って行くのが見える
ネオンは残像に
喧騒は残響に
祭りの夜が終わるよ
萎んだ綿菓子を握りしめている
最後の明かりが消えて
取り戻す静寂
遠ざかる足音
子どもの喜声
溢れた屑かご
明日からまた遊ぼう
幼い私達が
家に帰って行くのが見える