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ハトの部屋


[58] かつて私だった少女と初夏の朝
詩人:ハト [投票][編集]

とうとうこの日が来てしまった
(必死で目指してきた、できれば来て欲しくなかった今日が、もう、ここに)

半ば絶望的な気分で
体を布団から起こす

(頭の中には音楽が、あのフレーズがエンドレスリピートしている。なんて苛々するの)

ふと空を見に行こうと思った
今日あるものを
今あるものを
見に行こうと思った

(初夏の朝は、いつも懐かしいにおいがする。モラトリアムの気だるいにおいが)

玄関を開け放ち
見上げた空は薄明るく
風がさらさらと心地好かった

(ああ、悼んでくれるのね、これからあたしが失なうものを。あたしが、失なうものを。)

きっと空をみる度に思い出す
今、この朝のことを
今日起こる事を

その時私は
何をしているだろう

きっと、きっと
今のあたしよりは
マシな人間だろう

どうか、どうか、
そうでありますように

(ああ、また陽が昇る。あの日と全く同じ朝日が、変わらず昇ってゆく。あの日の私よ、諦めなさい。私はあなたの事など忘れてしまう。きっと、きっと。)

2007/02/13 (Tue)

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