焼け落ちた肌とただれきった魂を海へ掬い問った鼓動はひとしおで涙は空覚めた月が泣いていた木陰で人々は笑いながら無意味に愛を囁きあった歌を唄った神の詩なにもないことだけが私を支配している無地の本には一行「何処にも何も無い」ただそれだけが空白に色を無価値に置き換えて何処は何処だろうここはここには冷たい死体だけが息している
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