詩人:千波 一也 | [投票][編集] |
一斉に
咲け、と命令されたから
季節たちは
夢中になって
駆けぬける
ひかり、が
まぶしいものであるほかに
匂うものでもあることを
なんとなく均衡に
ふりまいて
太陽のしたで
少年は輪をおそわる
その輪のなかで
少女は回る
らせんを描くように
尖塔にはならない
ように
回る
しばらくは
戯れていなさい、と
風が
嘘ばかりを
甘やかすから
季節たちは
脱ぎ捨て
始める
まあるいものを
一斉に
研ぎ澄まされるように
一斉に
脱ぎ捨て始める
やけに
懐かしい擬音語が
飛べ、という
意味を守りながら
いつでもここを
過ぎてゆく
ふわふわと
さびしい日向を
惑うともなく