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千波 一也の部屋


[1030] 果実未満
詩人:千波 一也 [投票][編集]


まるで

夕立みたいな後悔のあとで

ぼくたちはまた

眠りへ向かう


汗と涙の共通点は

においのあるところで

においの流れ方だけがすこし違う

とても違う


虹がきれいに架かるとき

ぼくらは決まって潮騒のなか

遠かったり近かったり

全く同じ潮騒のなか


聞こえる言葉は稲妻みたいで

瞬きの間に溶けてしまう

それゆえ映画は

無くならない


まるで

凍土みたいな記憶をもって

ぼくたちはただ

夕焼けを見る


数えきれないほんとの嘘たちが

二度と苦しみませんように

傷みませんように、って

愚かなくらいに美しく



2011/08/02 (Tue)

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