詩人:千波 一也 | [投票][得票][編集] |
その夕刻は
果てなく寂しい金色でした
誰か、
いや、何かに
からめとられたような拙さが
その時ばかりは輝いて
どんなに小さな約束ごとでも
あなたにやさしい髪飾りとなって
わたしは長く
見惚れていました
もう、
どこへも逃げられない花の名は
儚いからこそ残酷で
それゆえ甘く、芳醇で
「美しい」だなんて一言に
何度となく
咲いては散って
散っては咲いていくのでしょう
瞬きの間に
夜がしっかり満ちゆくように
海をめぐる水たちは
青く描かれることが多いけれど
あなたやわたしの
身をめぐる水たちは
どんな色に落ち着くべきなのでしょう
わからないほうが
幸せなこともあるけれど
わからな過ぎては失ってしまう、と
確たる根拠もなく信じて
はからずも疑いは
無限に続きます
だから
ほら、目を閉じて
今すぐに
なにごとも
あなたの命を
たやすく消したりしないから
ささやかな呼吸のひとつと思って
すこしだけ
ください
あなたに口づける
隙間をください
永遠の
かわりに