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千波 一也の部屋


[1091] 夜を告げる舟
詩人:千波 一也 [投票][編集]


月のかげから

漕ぎ出でるのは

夜を告げる舟


一隻の

心許ない

ささやかな舟



涙も吐息も

櫂にほどけて銀の波


愛想も美辞も

帆にいだかれて金の風




嗚呼

帰ってゆくんだね

なんにも傷つけないで

傷つかないで

さみしい薄明かりだね

きれいだね




彼方を愛した

言葉のかげから

漕ぎ出でるのは一隻の舟


きらきらと

名残惜しそうに

夜を告げる舟




2011/09/30 (Fri)

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