詩人:千波 一也 | [投票][編集] |
こわれる為に
交わした約束が
あるとするならば
それは
しずかに
花の名のなかに
忍ばせておきましょう
生きものはみな
根を持ちます
水を吸い上げて
空にこがれて
水を吸い上げて
時にこぼれて
いのいちばんに欲するものが
水であることに
変わりはなくて
もしも
こわれる音が響いたら
ささいな水の戯れと
お受けとめ下さい
あなたの爪の氾濫を
聞くとはなしに
聞きながら
うまれる為に
交わした約束が
あるとするならば
それは
しずかに
器の絵柄として
なじませましょう
忘れてしまうのが
花ならば
覚えておきたいものも
花なのでしょう
置換可能な内外の
器に手をふれ
ふれられて
めまぐるしく鮮やかな
約束です
みな