幼い日々がやわらかく在ったのはいつわりごと、が易しかったから不器用な手に添われていたからひとつひとつの横顔はおぼろ気だけれどぬくもる匂いはきえ去らないわたしのなかの幻灯機ひかりの粒を寄せあつめたらおもても裏もなくなるね昨日は、あした明日は、きのういろを極めた影たちがつながる華やかにことばを紡げたら、と願いごとの続く限り幸せはとぎれないたよりなげな指たちがとじては咲いて咲いてはとじて息吹はおわらない
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