詩人:千波 一也 | [投票][得票][編集] |
ささいな言葉を宛てるにも
勇気がいります
愛ならば
企まないで
ほしがらないで
ただ真っすぐに仰げたら
空は
味方につきますか
かぜに誘われて
かぜに残されて
かぜに守られて
かぜに責められて
願いごととは程遠く
透けてゆきます
なにもかも
人から人へ渡るのは
とこしえの海
記憶に
頼らざるをえない
まっさらな
球形の
海
引き潮とも
満ち潮とも分かちがたい
まばたきの間の
しずくでしたね
思えば
だれしも
つとめて静かな優しさが
尖りませんように
気弱な底が
傷をかさねませんように
言葉すくなく語るにも
ひかりが要ります
夢ならば