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千波 一也の部屋


[1276] 雪わたり
詩人:千波 一也 [投票][編集]


雪のなかにあらわれる
物語
色もなく
声もなく
ただ
ただ
素直な物語

わたしの指に
たとえ消えてしまっても
物語までは
なくならない
それが


誰かの灯りに
彩られたとしても
物語は
かわらない
それが


辿り着いた地面から
ふたたび
そらへと
流れはじめても
物語は
まよわない
それが


わたしの
そとに降り積もる
物語は
わたしの
うちにも降り積もる
居場所を告げず
しるしを告げず
ただ
ただ
しずかに
物語であることを遂行して
いつか、
やがて、と
わたしを
揺らす




2014/03/22 (Sat)

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