三月の晴れ間に舞う ひとひらの冬 勢いもなく威厳もなく すぐにもそれは解けて どこから来たの、どこへと行くの、たずねるいとまも無く お別れになる けれど、 帰るべきところへと帰ったのだろうと思われる きっと、やさしい身内のもとへ戻ったのだろうと思われる もうじき春が あふれ出しそうな頃に舞う ひとひらの冬それはあまりに淡く いとおしい
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