詩人:千波 一也 | [投票][編集] |
檻の中に
いるのだとおもった
どこまでも許しを必要とせず
満たされつづけるような
海に吹かれて
さびしさを紐解けず
絡まっていた
慣れてしまえば
失うことは怖くない、さほど
得ることに慣れたなら
はかり知れぬ不幸が
みえる
気がする
人は
何故にゆだね合うのだろう
大切なことを隠し通して
堪えきれなくなるまで
隠し通したつもりで
何故に
ゆだね合うのだろう
降る雨を待つことも
降らない雨を待つことも
やがては消える、という点では同じ
そして、同じがゆえの
差異がある
その差異の一片が
ことばで
ことばによって人は
孤独を深めて
ゆく
愛することに疲れても
そむかれても
報われなくても
それらを越える一点の
力に伏して
孤独をみつめる
孤独を口にする
孤独をともして
ぬくもる