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千波 一也の部屋


[606] 硝子工房
詩人:千波 一也 [投票][編集]


むらさきいろの透明グラスは

この指に

繊細な重みを

そっと教えており

うさぎのかたちの水色細工は

ちらり、と微笑み 

おやすみのふり



壁一面には

ランプの群れがお花のかたち

あの狭い部屋のなかでも

こんなふうに育つだろうか、と

腕を組む



フロアに匂うキャンドルの灯りは

しずかに

したたかに

この足を地上から浮き立たせて

「もうしばし」と

ときを盗んで 

たしかに燃やす



頬と 

髪と 

瞳と

なにいろにも染まり馴染んで

胸と 

耳と 

声と

かるくするどく

溶けてゆく



運河を渡る 風 一陣



人波の

おだやかな紅潮が

もうじき夕陽と

ぴたり

重なる



2006/09/09 (Sat)

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