詩人:千波 一也 | [投票][編集] |
ライオンさんのやる気がゼロでしたので
わたしは舌打ちをしました
タイガーさまも同様でした
残念でした
同じくネコ科のクロヒョウくんは
動いていました
しかしながら
その目はとても虚ろでしたし
檻の中を行ったり来たりしていただけです
わたしは憐れみを感じました
反面、アザラシたちは機敏でした
あなたたちには
寧ろ
ダラケていて欲しかったのが本音です
その、
はち切れそうな太鼓腹を
ペシペシと
叩いていて欲しかったのです
でも、
スイスイと泳ぎまわる御姿に
不覚ながらも魅入ってしまいました
少しくらい
顔だけ出して浮いて下さっても宜しかったのに
ところで、
ヤギとヒツジの区別がつきません、相変わらず
ただ、
両者とも
日陰を占領する気質をお持ちであることは知りました
憩いの時間をこよなく愛しておられるのですね
近づくわたしを見つめたその
細い目が
少し怖かったです
エゾシカについては
秋にもなれば
国道沿いにて会えるでしょうから
素通りいたしました
暑さとの闘いもあったのです
それでもやはり、
親しき仲にも礼儀あり
ですよね
今更ですがお詫び申し上げます
直射日光の冴えわたる真夏の動物園は
人間に不向きな場所だと思いました
なぜなら
わたしの願いが叶わないからです
見たいように見たいのに
わたしが見たものは
全て
わたしだったような気がするのです
わたしを
そのような目で見ないでください
直射日光の冴えわたる真夏の動物園には
匂いが溢れています
わたしを
そのような目で見ないでください
と
獣の匂いが溢れています