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千波 一也の部屋


[635] 霜月
詩人:千波 一也 [投票][編集]


星々の明るさが際立ちます

夜気がひんやりと

澄み渡るらしく

星々の明るさが際立ちます


されど

星々はつねに燃えているのであって

なんの労苦もなく輝くものなど

在りはしないのであって

寒さに震える季節なればこそ

灯りが目につくようになった

そういうからくりでは

ございませんか

そら、

月を取り巻く薄雲が

煙に見えたりしませんか



道のしるべは 今いずこ

あなたのおもむく理由をお尋ねします

道のしるべは 今いずこ

あなたの帰り急ぐ理由をお尋ねします



夜通し鳴いていた虫のかげは 

消え果てて

道のほとりには霜の白

或いは

灰の白さかも知れません

誰がたやすく

それを

否められるでしょう



霜の白

灰の白

夜道に見上げる星々の明るさに

口を開けば

吐息も

白く



間もなく花が咲くでしょう

その身を熱へと かえしゆく

真白き花が

咲くでしょう



2006/09/09 (Sat)

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