詩人:千波 一也 | [投票][編集] |
覚えていますか あの国道を
場所のことではなく
名前のことではなく
もう二度と通ることのない
あの
国道のことです
向日葵の頃には
とても眩しいものでした
容赦のない陽射しとは違って
まっすぐに咲き誇るものですから
とても
眩しいものでした
覚えていますか
いまならば
通りすがりの他人のように
まるで なんにも知らないように
咲き誇っていた想いたちの眩しさが
見えたりするものです
可笑しいですね
写真の一つも無いというのに
もうまもなく向日葵の頃です
あいにくと
自分の姿は見えないもので
代わりにあなたを案じてみます
いつか
あの国道をもう一度走るとき
それは すっかり新しい景色へと
変わることでしょうから
軽く、
軽く尋ねてみたいのです
覚えていますか あの国道を