詩人:千波 一也 | [投票][編集] |
衰退という言葉を覚えてからは
賑わいと
寂しさとを
天秤にかけている
贅沢イコール幸福
その算式は
完全には正しくないけれど
完全なる誤りでもないだろう
拡散にはきびしさを
縮小にはいつくしみを
わかっているからといって
そのままに
歩けるわけではない
そうしてそこに
勝敗を持ちかける者もある
そんなふうにどの意味も
無の向こうから
生まれくる
想うことを癒しとすれば
想うことは傷にもなるだろう
いちばん遠いものたちは
どこかをさかいに
いちばん近い
限りなく
限りあるすべてを拒んでゆけ
あの
空に架かる絵は
相似を招きはしても
整合を招きはしない
それが本来の
さよならのやわらかさ
容易いとおもえば容易く
難しいとおもえば難しい
あきらめをあきらめて
ゆるしをゆるして
限りなく
限りあるすべてを拒んでゆけ