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千波 一也の部屋


[753] 雪崩
詩人:千波 一也 [投票][編集]



すべてを飲み込む激しい流れは

もはや雪崩と呼べない



かすかな吐息

たよりない足音

あしたをさぐる腕


たとえばそんな営みに

じっと耳を傾ける静寂こそが

雪崩の呼び名に

ふさわしい



待つものごとがあっても無くても

待たれているということだけは

くつがえらない決まりごと



白紙のうえで白線は

はじめからえがかれている


気付かずにすむことがおそろしさ



すべてを押し流す激しい雪崩は

とうの昔にはじまりがある



まばたきの間にうつろうものなど

はかなきいのちのほかにはない


駈けてゆくものには

駈ける姿がみえやすく

駈けない姿を

信じこむ


その失速を

雪崩はたしかに聴いている



終わりはすでに止まらない

はじまりのなかの

はじまりに


2007/01/10 (Wed)

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