詩人:千波 一也 | [投票][得票][編集] |
浅はかな哀しみを
どこまでも赦してしまうので
慕っています、
ひとの背を
重ねるような
重ねられるような
だれのものとも知れぬまま
だれにもどこにも
辿り着けずに
ひとの背は
いつか、
行方を忘れてしまったようです
それゆえ見つめて
あるいは見つめられて
削りゆくひと
剥がれゆくひと
撰んでしまうひと
そのまま、
怯えかねてゆけるなら
かろうじて影は
かたちの為に
霞みやまぬ、
彼岸です
のぼりゆけますか、
うみの底まで
荒れてしまう傍らから
此岸は鳴ります
憂いも徒労も
あざやかに、闇
なにも
たやすく
消えません
託していますか、
こぼれる総てを
たよりに漕ぎつつ
詠みびと知らずは絶え間なく
それがいしずえ、
巡りの花かと
預かりものをなくした素振りで
そよいでゆきます、
月をいくつも
咲きながら