詩人:千波 一也 | [投票][編集] |
脱ぎ捨てたシャツには
汗の匂い
それはそのまま
あすへとながれて
うっすらと
口づけをもとめる
よるの首筋は
片付けきらない部屋の
すべてを横切りとけてゆく
あらゆる途中を
かわせるはずもないままに
さまようことを
おろそかに遠ざけて
戻りつづける素肌の微熱
かばうつもりの涙から
たぐり寄せられ
絡められ
はやる季節はいまもなお
眠りのふちで待っている
荒々しい直線を
知らないままでは
かなしみはすれ違うから
抱きしめるちからの確かさは
情けなさを忘れるための
けものの習い
及ばないことなど
はじめから捨てたものとして
かろうじて息をする
背中で誓いは
あやまるともなく
星をかぞえて
ここからの
五線譜に
きのうのためのきのうは乗せず
ときの向こうを貫くような
はじめての旋律を
いつか
たやすい言葉に紛れることなく
幾度もかさなり
ゆれながら