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千波 一也の部屋


[795] はぐれ水
詩人:千波 一也 [投票][得票][編集]



もう

どこにも帰れない


そんな気がした夕暮れは

どんなことばも

風にした



 ながれる雲の

 行き先はしらない


 突きとめずにおくことが

 しあわせだとは

 かぎらない


 揺られる髪は音もなく

 より添うでもなく

 離れるでもなく



透けてゆくものに

残されること


それが、時刻




ほんとも嘘も

燃えるようにして

かばい合い、

奪い合い


それゆえに、水

それすらも

水にして




たとえば明日が右手なら

左の手には

温もりを置き


かなしみの日を

輝くために


両の岸から



2007/04/27 (Fri)

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