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千波 一也の部屋


[809] 吹雪
詩人:千波 一也 [投票][得票][編集]


風たちの流れは

水のさなかにある



空の両手を

もうじき雨は

こぼれ落ちるから

だれもが海に

いだかれ

癒える




困惑のためのすべを

探していたのかも知れない


乾くことを

ゆるされない空洞として

瞳のうつわの

瞳のなかで

ひとつは

無限




やがて川は向かわなくなる


あつめることを

疲れてしまう微熱のように

添うことをわすれても

涙になる頃は

かさが増す




なりゆきは

はるか遠くで語られて

それぞれの日記の

差異が映える


波に

託されることを託して

あふれやまずに

いのちは

燃えて




五感はずっと吹雪のまま




ときの彼方を

焦がれるほどに

降り積もるこころなら


はじまりを慣れて

飲みほしてゆく


それぞれの

かならずの冬に


2007/06/19 (Tue)

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