詩人:千波 一也 | [投票][得票][編集] |
まばらなようで
まったく同じ
涙は
ひとから流れゆく
雨のぬくもりを
手探りつづける日々と
かぜの横顔について
語りあぐねてみる日々と
だれか
上手な線引きを
広げた両手に
足りないものを
ゆめと呼ぶのなら
形はそっと癒えるだろう
かりそめの無を
きれいに脱ぎ捨てて
底知れず
落ちつづける身でも
それは
一つのまなざしを
まもり通すための約束
過保護な庭も
はじまり方で名が変わる
ひとは
それほどむずかしくない
それゆえ
反する思いのままに
指をさす
染めきれない
無力な刃さながらに
高らかな
形容のたもと
空をあおいで