詩人:千波 一也 | [投票][編集] |
泥を
振り払おうとする腕こそが
いつまでも拭えない
泥かもしれない
確かめようの無いその有様を
透明である、とは
誰も語らない
そこでまた
ひとつの泥の
可能性が
散る
それは
おそらく透明な
おそろしい鈍さの
広がりになる
片腕は
ほんとは誰とも重ならない
それゆえひとは
闘うのだろう
支えの形をなくさぬように
たとえ誰かが
泥まみれと
笑っても
様々に
守るのだろう
すべてのひとの
肩代わりをするように
いつでも風は
透明である
まるで
背負い過ぎたものを
放す手がかりのように
あまりに自由に
不透明である
もう
追えないだろうか
不自由でも
透明に