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千波 一也の部屋


[830] 八月の教科書
詩人:千波 一也 [投票][得票][編集]


どのページが

めくられたのか

あまりに細い指先は

忙しさの数だけ

忘れてしまう


それがつまりは

ふたりであることの

やさしさを

難しくする


純粋であるほど

不確かに


 もう

 どんな意味にも従わない、と

 頑なになるたびに

 あらたな弱みを

 身につけて

 そこからの深海が

 約束をなすということに

 間違いはないけれど

 はじまりはいつも

 豊かさのそと


なないろに光る

あなたを知っている

それはきっと

同じ方法で

逆さまに

なる


 臆病な日よ

 昔へ急げ


疑いようのない

生まれたてのすべてを

恥じらいながらも

懐かしみ

八月を

ゆく


背中の狭い教室で


2007/09/24 (Mon)

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