詩人:千波 一也 | [投票][編集] |
傷つけられた一言を
あとから何度も
思い出す
酌(く)むべき意味が
あったのかもしれない、と
一人でそっと
思い出す
けれどもそれは
あらたに痛みを増やすだけ
やっぱりそうか、と
うなだれるだけ
それでもときに
恥ずべき己がみつかって
やさしい刃のかすめるように
厭(いと)うに足らない
痛みをおぼえる
ひとは
哀しい機械です
壊され方やなおされ方を
迎えるでもなく
拒むでもなく
かぼそい指に
触れたものだけ
何度も
何度も
ただ確かめる
違わぬことは
おろかなほどの
リピートです
正しいこと、とは
何だろう
幾つもみつけて
幾つもうしなう疑いのなか
ひとのこころは精密に
信じることを
思い出す
何度も違わず
機能する