詩人:千波 一也 | [投票][得票][編集] |
だらしがないのは
知っていた
それを
やすやすとは
止められない理由など
どこにも無いことも
知っていた
首筋に
金属めいた
未熟な匂いを漂わせ
夢中になりたくて
ひたすらに燃えてみせた
けれどもそれは
まもりのための火ではなく
知らずに寒さを
散らせる火
いち足すいちを覚えることが
しあわせだとは思えずに
あおの波紋に
身を震わせた
あたりまえ、という言葉が
踏みつけてゆくものを
蹴飛ばしたくなかった
ほんとうは
影を教わる
夕日のなかで
土の匂いに抱かれながら
靴の
かかとを踏んでいた
甘えでも
おろかでも
だれかにやさしく
なれないものか、と
さびしい嘘に
すがってた