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千波 一也の部屋


[913] プロミネンス
詩人:千波 一也 [投票][得票][編集]


鎖骨の

においが

こぼれ落ちたら、


さかなのゆめに朝がくる




ことば未満の愛を交わして、

ゆっくりとたしかめる

てあしの記憶


水の

においの

シーツを背中に

羽をひろげるまねをして





 ふたり、

 月を宿している


 鍵穴とも呼べそうなそれは

 ひみつ、ではないから

 ほどよく闇を

 ひかって

 みせる



 真夏の午後へわたる風には

 いつでも素顔を

 そよがせて





やがては滅ぶたいようの

かなしみはまだ、聞こえない




いたずらじみた眼差しで

数えてよろこぶ

くちづけに


ふたり、

つがいの色になる




2008/08/11 (Mon)

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