詩人:千波 一也 | [投票][得票][編集] |
一枚の葉がふくむ記憶は
みどりにそまり
やさしく香る
かぜは
ときおり険しいけれど
その手をのぞみ
樹木はそよぐ
世のなかに
なごみの満ちた
晴れ間がつづけばいい、と
ねがいは絶えない
確かに
絶えない
それでいて
だれかのささやかな幸せを
素直には飲みこめない
わたしがある
のちのち
それを悔やむから
すこしは救いもあるけれど
ささいな雲にさえ
たやすくおびえてしまう
わたしの
ひと夏
一枚の葉にゆれる記憶は
それとはなしに
無限をかたる
空を
のぼるすべは果てしなく
通りすがりのよこがおとして
わたしもまた、なにかを
わすれる
ひとつの
実りを実りきる、
不慣れな
葉月に