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千波 一也の部屋


[924] 羽追い人
詩人:千波 一也 [投票][編集]


わたしから

こぼれるものは

いくらでもある


けれど

わたしはそれを覚えない



まるで

狭い空き缶さながらに

空をあおいでは

たやすく空に

うばわれて

ゆく



わたしはいつも

満たない

けれど


おそらくそれが

乾きのめぐみ




 ほら、

 水面のうまれる音がする




わたしから

はがれる願いは限られていて

透きとおるさかなの

うろこのように

誰かがそれを

身につける




そして、

わたしたちは受けとめ合う


互いにみえない

互いの背中で

風の行方を

流れ合う




2008/09/19 (Fri)

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