巻き戻された、気がして夜を何度も聞き返すこの手が、あるいはその胸が用いようとする意味はおそらく誰かの船底だろう唯一月がおびえる頂 鎖につながれた森が 空へと凪いでゆく その先端に 鍵がある 研いではいけない 声が、する聞き耳を立てながらひとり芝居は、終われない束縛するものすべてを放り投げてもひとつにはなりえない孤独という名の豊穣を千年の火で出迎えてそっと、盗み取る禁忌のしずく素顔に濡れた指さきで、いま
[前頁] [千波 一也の部屋] [次頁]