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千波 一也の部屋


[952] サルベージ
詩人:千波 一也 [投票][編集]


巻き戻された、気がして


夜を

何度も聞き返す



この手が、

あるいはその胸が

用いようとする意味は

おそらく誰かの

船底だろう


唯一

月がおびえる頂




 鎖につながれた森が

 空へと凪いでゆく


 その先端に

 鍵がある



 研いではいけない

 声が、する




聞き耳を立てながら

ひとり芝居は、

終われない


束縛するものすべてを

放り投げても


ひとつにはなりえない




孤独という名の豊穣を

千年の火で出迎えて


そっと、

盗み取る


禁忌のしずく




素顔に濡れた

指さきで、いま



2008/12/02 (Tue)

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