冬の辞書には牙が満ちている燃えようとして生きようと、して裏も表もなくただ、それゆえにいたわりがたい鋭さがあるつめたさに似た熱量、として定義にふれる途中の者は不完全なる凍傷だ冬の辞書にはそれを癒しうるすべがありありと溢れ、同じ分だけ消えてしまう 牙のかげに、 素朴で 従順な 牙のかげに、 救いの痛みはあるのだろう刻まれてゆくことのいさぎよい悲しみが冬の辞書には満ちているときどき上手に逃げそこなって
[前頁] [千波 一也の部屋] [次頁]