詩人:千波 一也 | [投票][編集] |
今年
いちばんの正直者が
各地で猛威を振るっています
不満なことには覆いをせずに
可笑しいことなら囲いをはずし
感じたことを
感じたままに
まもなく
無上のわかりやすさが
拡大勢力を増すでしょう
涙のひとには理由を語らせ
倒れたひとには経緯を書かせて
笑顔から遠いひとびとも
笑顔に近いひとびとも
まったく等しく
なるでしょう
一方で
うそつきは
かなしくなる見込みです
うそという概念が
あまりにも歪み過ぎたため
各地では修復作業に
追われています
いや、
見限ったといっても
過言ではないでしょう
姿の見えがたいやさしさが
消失してしまわぬよう
警戒が必要です
しかしながら
それを逆手にとった悪意にも
十分ご注意ください
今年
いちばんの正直者が
見境のない正直者ばかりが
その猛威を許され始めています