詩人:千波 一也 | [投票][得票][編集] |
指のさき
雪がひとひら、消えました
わたしの熱を、あら熱を
かくまうように
消えました
うなずくべきことなど
何もないけれど、
わたしは確かに
うなずきました
すべて、
わたしはこんなふうに
失くしてゆくのでしょう
この指に降りたものは
雪でした
しかしながら、
消えていったそのあとまで
雪と呼ぶのはふしぎです
もう呼べないけれど
呼べる気がする雪と似て
わたしの時が
つもります
必ずめぐる冬の日に
この身をぬくめるすべとして
わたし、
すべてを
失くしてゆくのでしょう
孤独の底に
落ちないように
孤独が底に落ちないように、
微笑みながら
わたしは
ずっと