詩人:千波 一也 | [投票][編集] |
わたしたちを彩る
おもいでの確かさは
星座のそれと
とても似ていて
必ず
遠くで
きれいに滅する
届き過ぎたら
きっとわたしたち
狂ってしまうから
ほんのわずかな
痛みも伴わずに済むように
おもいでを
ゆっくり
静かに
変えてゆく
時は
流れを止められないから
進んでゆくことが
わたしたちの務め
それでも時に
振り返りたくなることも
わたしたちにとって
欠くわけには
いかない
務め
それならば
確かであるべきは
時を通過したということ
今ここで
おもいでとして呼べること
図らずも
難しいことばかりに
出会えてしまうけれど
それも
やがては
星座になろう
たとえばすべてが解け合うように
この
八月の
降る頃に
秋の
まよいを
音も立てずに
踏みしめながら
おもいでたちは確かになろう
この八月の降る頃に