詩人:碧樹 波美 | [投票][編集] |
樹々で作られた散歩道
夏の葉のかわりに白い花が咲く
まるで眠りを忘れたかのように
さまよう私は黒い道を歩いてどこへ行くのだろう…
時折すれ違う人は、
まるであの日の海のような眼をしていた
その人はただ私に投げかけると、会釈だけして
荷造りをした黒いコートの襟元をしっかりと掴んで
かの国へ旅立って行く
あの人はどこへ行くのだろう
たしかにここにいたという印をまるで私に刻み込むように
私は振り返り
あの姿を
あの眼を
心の中で見つめて会釈してから
また白くなった道を歩き始めた
空はまだあのどんよりした鉛色していた
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