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[97074] 冬の散歩道

詩人:碧樹 波美

樹々で作られた散歩道

夏の葉のかわりに白い花が咲く

まるで眠りを忘れたかのように

さまよう私は黒い道を歩いてどこへ行くのだろう…

時折すれ違う人は、
まるであの日の海のような眼をしていた

その人はただ私に投げかけると、会釈だけして

荷造りをした黒いコートの襟元をしっかりと掴んで
かの国へ旅立って行く

あの人はどこへ行くのだろう

たしかにここにいたという印をまるで私に刻み込むように

私は振り返り

あの姿を
あの眼を

心の中で見つめて会釈してから

また白くなった道を歩き始めた

空はまだあのどんよりした鉛色していた

2007/02/26 (Mon)
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