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大示の部屋  〜 新着順表示 〜


[353] 遊園地
詩人:大示 [投票][編集]


誰もいない遊園地

夜空を飛び回る
ジェットコースターからは

もう、絶叫は聞こえない


誰もいない遊園地

片隅に佇む巨人のティーカップは

小さな子犬の大きな揺りかご


誰もいない遊園地

くるくるまわる馬の群れは
広い草原を駆ける夢を見ている


仄かに光る夢の跡は

夜を覗きはじめた朝陽と共に
昇っていく



2010/03/06 (Sat)

[352] 溜め息
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凍りついた夜に

彼は息を吐いた


時計を見るまでもなく

夜明けは遠い


綺麗な星も

曇りガラスの雲に阻まれて

願いは届きそうにない


どうか静かな眠りを

優しく暖かな眠りを


凍りついた空に

彼は息を吐いた


邪魔な重い雲は

流れてくれそうにない


夜明けは

まだ

遠い



2010/03/05 (Fri)

[351] 仕方ない
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僕は

錆びたロボットを見つけた

そいつは笑顔で埋まっていた


笑うように作られたのだから
仕方ない



僕は

くたびれた人を見た


その人は笑顔で
クレームに埋まっていた


笑うように義務づけられている

だから仕方ない



その人は家に帰って泣くのだ


生きている人間だから

仕方ない



2010/03/04 (Thu)

[350] 目を覚ませ
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勝手に不用意に近づいて

勝手に不必要な醜い愛を

ベタベタ

ベタベタ

擦り付ける


その『愛』は、誰が見ても偽物

そんなんじゃ僕は騙せない


目を覚ませ


僕の中にある君の姿が歪む前に



醜いものが愛だと君に教えたのは

誰なんだ?


2010/03/02 (Tue)

[349] 赤い君と靴
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つま先立ちの靴

そんなに空が恋しいのだろうか?



顔と顔の距離が少しだけ近い

赤い赤いハイヒール


僕と君の距離が少しだけ近い

赤い赤い君の頬


2010/02/25 (Thu)

[348] 食べる権利、学ぶ義務
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サバンナの弱肉強食を見て

『可哀想だ』と呟いた僕は
今、豚肉を食べている


耳をすましても
叫び声は聞こえない



命のおかげで僕は大きくなり

今、生きている


2010/02/24 (Wed)

[347] 白い息
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世界の片隅で

僕は静かに息をしている


途方もないことに怯えながら

また

何かに幾ばくかの期待をしながら


真っ暗な部屋の中

息だけが白く光る

僕が生きていることを

月の光が証明してくれる


今は優しく

時に無慈悲に


2010/02/22 (Mon)

[346] 人と樹
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僕は木の根元に座り見上げた

空にひび割れを作る細い枝は

まるで死に絶えた様に
沈黙している


でも僕達は知っている


この木は幾度でも甦ると


切り倒されない限り

燃やされない限り


優しい色をたたえて

人々の笑顔を見下ろすのだ

2010/02/22 (Mon)

[345] おいかけっこ
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私はいつも

逃げ回る自分の尻尾を
追いかけている


本当の自分をつかまえるのは

とても難しい


そこの誰かさん

もしよかったら

手伝ってくださいませんか?


2010/02/21 (Sun)

[344] エスコート
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君が鍵で

僕が扉


君の鍵は僕の扉と

あっているかな



扉の向こうに一緒に行けるかな




僕の世界を

楽しんでくれたら嬉しいな

一名様、ご案内


2010/02/20 (Sat)
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