詩人:大示 | [投票][編集] |
誰もいない遊園地
夜空を飛び回る
ジェットコースターからは
もう、絶叫は聞こえない
誰もいない遊園地
片隅に佇む巨人のティーカップは
小さな子犬の大きな揺りかご
誰もいない遊園地
くるくるまわる馬の群れは
広い草原を駆ける夢を見ている
仄かに光る夢の跡は
夜を覗きはじめた朝陽と共に
昇っていく
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凍りついた夜に
彼は息を吐いた
時計を見るまでもなく
夜明けは遠い
綺麗な星も
曇りガラスの雲に阻まれて
願いは届きそうにない
どうか静かな眠りを
優しく暖かな眠りを
凍りついた空に
彼は息を吐いた
邪魔な重い雲は
流れてくれそうにない
夜明けは
まだ
遠い
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僕は
錆びたロボットを見つけた
そいつは笑顔で埋まっていた
笑うように作られたのだから
仕方ない
僕は
くたびれた人を見た
その人は笑顔で
クレームに埋まっていた
笑うように義務づけられている
だから仕方ない
その人は家に帰って泣くのだ
生きている人間だから
仕方ない
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勝手に不用意に近づいて
勝手に不必要な醜い愛を
ベタベタ
ベタベタ
擦り付ける
その『愛』は、誰が見ても偽物
そんなんじゃ僕は騙せない
目を覚ませ
僕の中にある君の姿が歪む前に
醜いものが愛だと君に教えたのは
誰なんだ?
詩人:大示 | [投票][編集] |
サバンナの弱肉強食を見て
『可哀想だ』と呟いた僕は
今、豚肉を食べている
耳をすましても
叫び声は聞こえない
命のおかげで僕は大きくなり
今、生きている
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世界の片隅で
僕は静かに息をしている
途方もないことに怯えながら
また
何かに幾ばくかの期待をしながら
真っ暗な部屋の中
息だけが白く光る
僕が生きていることを
月の光が証明してくれる
今は優しく
時に無慈悲に
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僕は木の根元に座り見上げた
空にひび割れを作る細い枝は
まるで死に絶えた様に
沈黙している
でも僕達は知っている
この木は幾度でも甦ると
切り倒されない限り
燃やされない限り
優しい色をたたえて
人々の笑顔を見下ろすのだ
詩人:大示 | [投票][編集] |
私はいつも
逃げ回る自分の尻尾を
追いかけている
本当の自分をつかまえるのは
とても難しい
そこの誰かさん
もしよかったら
手伝ってくださいませんか?