ホーム > 詩人の部屋 > 大示の部屋 > めぐるもの。

大示の部屋


[190] めぐるもの。
詩人:大示 [投票][編集]


心を持たぬ愛しい人よ

哀しき慟哭は空に消え行く

我が心を掴み、眠りにつく君は
凍えた涙に濡れて


幾度かの真円の月と共に
我が心は満ちた

数あるなかの情の一つ

最も価値ある『 』で


されど別れの時もまた満ちる


春告げる花を待つ君

古木に光る結晶を払い

息を吹き掛ける

薄紅の花々を思い描いて



花咲く時を待たずして

彼の人は溶け逝き

古木の内をめぐる


我妻は美しくも儚き花となり

我が心を今も捉えたまま

空を舞う

2009/03/01 (Sun)

前頁] [大示の部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -