心を持たぬ愛しい人よ哀しき慟哭は空に消え行く我が心を掴み、眠りにつく君は凍えた涙に濡れて幾度かの真円の月と共に 我が心は満ちた数あるなかの情の一つ最も価値ある『 』でされど別れの時もまた満ちる春告げる花を待つ君古木に光る結晶を払い息を吹き掛ける薄紅の花々を思い描いて花咲く時を待たずして彼の人は溶け逝き古木の内をめぐる我妻は美しくも儚き花となり我が心を今も捉えたまま空を舞う
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