水面に背中を預けて凍り付いた夜を見上げる傾いた月が独りの寂しさに震えているころ星と夜鳥がサヨナラも言わず太陽を迎えようと流れていく僕はここで、動かなくなった魚の様に水のざわめきと遥か向こうの遠吠えを聞く朝になれば水は消え失せ街の鼓動が蘇る夜のすべては太陽の裏側へ隠されて道行く人も知らないふりをしている
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