ホーム > 詩人の部屋 > 山羊の部屋 > 投稿順表示

山羊の部屋  〜 投稿順表示 〜


[1] 錆びた青
詩人:山羊 [投票][編集]

あの輝いた季節に押された傷跡
笑顔の中で押し殺された反発
純粋は奈落に落とされる いつもそうだね

死んだ魚の目をした私は
君を救える事もできずに
汚い涙を流しては
そっちに行っては駄目ですよ
曇りガラスの向こうから叫んだ

ネオンのビルから出てきた君は
依存する人を探していた

あまりの試練に涙の溜まるガラスは割れ
涙は出なくなっていた

欲望丸出しの大人に支えられ
連れていかれる君に
この先の道が予想できたはずなのに
何も出来ない私は
死んだ魚の目をしては
曇りガラスの向こうから
手を招く事しかできず

錆びた青い輝きは
都会の奈落に飲み込まれた
もう一度輝く時がくるのかは

死んだ魚の目をした
私には
それを知る術すらも 無く


2006/09/04 (Mon)

[2] 墓標の景色
詩人:山羊 [投票][編集]

もうどれくらい 離れてしまっただろう
ただ 前を進んだ僕等は ただ流されていた
もうどれくらい 大切な物を失くしただろう
些細な事で一喜一憂したあの頃
忘れかけていた 大切な事

過去の墓標が 草原に立ち尽くす
それは 私を形成するいくつかのページ
泣き笑いしている 貴方が
まだ記憶の片隅で私を 責める

あの頃に戻りたい
願いは遠くに あの空の先へ

もうどれくらい 戻れない場所に来たのだろう
今頃 あの人は何をしているか・・・

私を覚えているのか・・・


覚えていないだろう

私たちは 散り散りになってしまって
あの草原に戻るのは
過去の墓標に立ち尽くして 現実から逃げたいだけ

今 また

2006/09/05 (Tue)

[3] 霧雨
詩人:山羊 [投票][編集]

表通りは か細い雨に濡れている
光りが灯れば 幻想的な色合いを見せる
私は ここで動けずに 愚者の体たらく

あの光りのパレードを抜けたなら
どんな場所に行けるのかな?
ずっと一緒にいると言った君は
この霧雨の向こうで 知らない誰かに微笑んで

二人で 見ていた幻は きっと本当に幻だった
このか細い光りは あの頃の二人を繋いでた脆い光り

何度も幻惑を見せるこの霧雨に
何度も君を見ようとするけれど
それは 本当の君では無く
あぁ それは 霧雨の幻 

表通り
華やかな傘の舞踏会と
車のオーケストラが響いて



2006/09/06 (Wed)

[4] 空っぽの家
詩人:山羊 [投票][編集]

鴉が鳴く頃に
薄暗い道を帰りゆく
なんだろう この切迫感は?
街灯が灯り始め
歩道橋がそそり立つ

さぁ 孤独の心を掲げて空っぽの家に足を踏み出そう
その影は聖者の行進の様に

角を曲がるとあの犬が吠えている
虚脱感と諦めが混じった横目を流す

さぁ灯りの無い部屋に入ろう
それが全てじゃないか
すれが全てなんだよ

私の心が投じた
いくつかの悲しい影が
月明かりに揺れて

2006/09/08 (Fri)

[5] 星空
詩人:山羊 [投票][編集]

その犬は汚れていた
その犬は足が不自由だった
その人間は不自由が無かった
ただ何かがその人間を責めた
苦しい 逃れられない重圧
その犬は何をもって生きているのか?
頭を撫でられる為か?
餌をもらう為か?

その足に枷は無いのか?
その人間には
いや俺には枷がある
何重にも何重にも
空なんて飛べないさ

その犬が戦ってた
自分の全てを守るため
命懸けで
俺には無い姿だ
考えられない
ただ何だろう
何で諦めないのか

おい
起き上がって教えてくれ
生きる意味を
戦う意味を

その犬
瞳はいつも空を見てた
遠い大きな空
昼も夜も
夜は瞳が星で輝いてた

いつも空を

2006/09/10 (Sun)

[6] 休日
詩人:山羊 [投票][編集]

バスの車窓から見た景色はどことなく悲しげ
いつか辿り着くと信じた天国はまた遠くなった
同じ言葉なら聞き飽きたから
頭ひねって違う言葉
夜の魔法のせいにしてもやきもき降り積もる
空を滑る飛行機雲に笑顔を写して
おいてけぼりの毎日だけど
また笑う明日

雲が低い日には
雲に飛び乗って
ゆっくり休みたい
街を見下ろしてまた空を見上げて
隣に君がいたら
隣に君がいたなら
言うことないな

ほらまた秘密のまま
そんなのやめてさ
そんな難しい顔してないでさ

2006/09/13 (Wed)

[7] 夢図書館
詩人:山羊 [投票][編集]

夢の続きを知る事ができる図書館は
あの路地を曲がればすぐ
私の足は夢うつつ
果てしない道のり

夢の続きを知る事ができる図書館は
あの並木道の先
私の瞳は夢のほとり
果てのない想い

人気の無いホール
幻が踊る
ピアノは懐かしいワルツ
壁の絵画が微笑む

夢の続き
また無限の回路へ
夢の中へ
目覚めれば一夜の幻

無人の回路
埃まみれのピアノ
蜘蛛の巣だらけの絵画

夢から覚めてしまえば
夢から覚めてしまえば

一時の幻

2006/09/14 (Thu)

[8] 歪む影
詩人:山羊 [投票][編集]

ハイカラな街
排ガス吸ってリフレイン
幾何学的な街
排気音聞いてリピート

背中合わせの君と僕
唐草模様の君の心
斑尾模様の僕の心

この都で出会った二人
まるで正反対の二人

日差しを避けた瓦礫街
寄り添う君を
邪険にはねのけた
僕の影が伸びて歪んだ
グニャリと

季節は虚ろって
二人を迷路に誘った

身震いを覚えた踏切
立ち止まる二人の前
列車が通り過ぎる
いつから
いつからこんな関係になってしまったのか

呼吸が苦しくなり
仰いだ太陽

ギラついた

2006/09/15 (Fri)

[9] 人生列車
詩人:山羊 [投票][編集]

都会の中泳ぎ疲れて
辿り着いた君に
僕は今まで
何をしてあげれたかな

人生列車で
すれ違った君を忘れられないだけさ
ただ人生列車に
思い出の詰まったトランクを忘れてしまっただけなのに

都会の波にのまれて
溺れた僕に
手を伸ばしてくれたのは君だけだったのに

人生列車に乗って
いなくなった君に
今更だけど
愛した記憶の
トランクは捨てないで

ただ人生列車は
二人の思い出を乗せて
走り行くだけさ

都会の海は混沌
泳ぎ疲れた僕は・・

2006/09/22 (Fri)

[10] 違和感
詩人:山羊 [投票][編集]

つけたテレビでは
悲惨なニュース
電車のダイヤル遅れ
大袈裟に話すキャスター
今日も弱に群がる強の世界
辻風吹いて泣き声消した
国道
路肩の猫の轢き逃げ死体
遠くに見える摩天楼が
あまりに対照的で
涙も出ない自分に
そばを猛スピードで駆け抜けた車が嘲笑った

ブラウン管から流れる事件と
何が違うのか

今日も空は快晴
泣き顔など有り得ないかのよう
無意識に耳を塞いでる僕に
お前も同じだよ

木陰の雀達が吐き捨てた

2006/09/29 (Fri)
51件中 (1-10) [ 1 2 3 4 5 6
- 詩人の部屋 -