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箕喪 木陰の部屋


[12] 誰の声かも分からずに
詩人:箕喪 木陰 [投票][得票][編集]

疲れ果てた体を
揺さぶる私がここにいて


心の安らぎさえ
手に入れられない世界に
まぎれこんでいた


微妙なあせりに気づかずに


自分を保とうと
ただ偽りの影をかぶっては


傷の多さに気づかずに


いくつもの傷を
体に残して



さぁ立ちなさい

その体が朽ち果てるまで


さぁ動きなさい

心が砕けるまで


誰の声かも分からずに


さぁ行きなさい

その身が滅びるまで



心の歪みと体の浸食
誰の手で朽ちてゆく―――?


我が自由も許されない境域


誰も知らない私が
座り込んで泣いている


私でさえも
手を差し伸べてあげられず


遠くから見つめる影法師



けれど

さぁ聞きなさい

誰のおかげで生をうけている


さぁ誓いなさい

その身を捧げると



もう止まらない


影が漂う 影をかぶる

誰も来ないで近寄らないで


一人で走る 独りで逃げる


闇の中を独り 駆け回る

2007/01/26 (Fri)

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