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箕喪 木陰の部屋


[19] 誰も知らない
詩人:箕喪 木陰 [投票][編集]

時には別れがあり
そして出会いがあること


何となく刻んでいた
心の奥底で


幾つもの言葉を交わし
共に慰め合って


いつかかけがえのない人に
少しずつ変わっていた


時間が進んでゆく中で
私たちは手を握りあっていたこと


たまには涙を見せ
貴方の傍で癒えてゆく心


それは甘えと言うのだろうか


でも触れ合った時間だけは
おもりが軽くなったのは


嘘でもなく本当だった


貴方との関係が
無くなるのは


絶対にしたくはないことだった


それだけの愛着と
それだけ大好きだったという想いが


私の中を満たしていたから


空気のように消すことができなくて


貴方は鎖の隙間を
通り抜けて去ってゆく


切ない言葉を聞かされて
言葉を失ったその時


涙を流さまいと
必死に耐えていた自分がいた


ただ笑顔だけ
見せておきたいと想ったから


笑顔だけを
印象に残して欲しかったから


時は過ぎてゆく


時には速く


時には遅く


手を伸ばした先にはもう
誰もいなくなってしまう


頼る人もいない
事を言える人もいない


誰もいなくなる


また独り
座り込む私が見えてくる


周りは誰も知らない人


私も周りも


私を知らない

2007/06/03 (Sun)

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