詩人:松子 | [投票][編集] |
とにかくイッてみよう なにはともあれイッてみよう
「それ、ソースですよ」って 冷やっこ食べる人にイッてみよう
とりあえずイッてみよう ダメ元でイッてみよう
「君のことが好きです」って クラスのマドンナにイッてみよう
恐れずにイッてみよう 勇気を出してイッてみよう
「タバコ吸うなよ」って たむろしてる中学生にイッてみよう
イッてみよう イッてみよう
イマのジブンをカえるタメに
イッてみよう ヤッてみよう
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ある日、僕は細い路地裏に、「フレンズ」って店があることを知った。
「友達にお困りの方はお試しください」
店の看板にはそう書いてある。
てんで友達のできない僕は、その扉を開けた。
金と引き換えに僕は友達を買った。
去り際、店主の老婆は僕にこう言った。
「その子を愛してやって」
初めての友達に僕は戸惑った。
「僕は君を裏切らない」
それが彼の口癖だった。
僕はそれに答えられなかった。
彼を愛さなかった。
彼は自殺した。
僕は泣いてはいなかった。
泣けなかったし、泣こうともしなかった。
数年後、僕はふとあの路地裏を通った。
どうやら店は無くなったようだが、「フレンズ」の看板だけがそこにあった。
そして僕はあることに気づいた。
そこに愛が無かったことだ。
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君の背中に ひとつホクロ
白い背中に ひとつホクロ
イミを付与する ひとつホクロ
「あるがままに」と歌いし彼が
殺されてしまう世の中だ
唇を重ねて ひとつホクロ
やさしすぎる ひとつホクロ
イミを問わない ひとつホクロ
何の覚悟も無い人が
殺されてしまう世の中だ
その星ひとつに願いを込めて
そっとキスするその瞬間
大事に 大事に していたい
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正(まさ)しく常である「正常」が
常とは異なっている「異常」に対して
「お前、変わってるな」
って言ったら
「単に、お前が多かっただけのこと」
って答えた
なんだ、ただ、統計の話だったんだって
僕は今更ながら気づかされて
僕のアイデンティティには「異常」が刻み込まれたんだ
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アキレスと亀が
僕に教えてくれたのは
イミを問い続ければ
コトバがクルッと空転して
黙りこくるしかないってことだった
それがいわゆる
倫理
なんだってことを
幼い僕は
知るよしも無かった
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靴紐がほどけたことに 気づいてたけど
すぐには結びなおさない
結びなおしても どうせ またすぐほどけることを
経験上 知っているから
さっきから怒っていることに 気づいてたけど
すぐには返事をしない
何を言っても どうせ 聞く耳を持たないことを
経験上 知っているから
でも
ほどけたままでは 歩き続けられないことを
経験上 知っているから
君の話に 耳を傾ける
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インアウトしよう 狂うほどに
インアウトしよう 立てなくなるまで
インアウトしよう 朝も昼も夜も
アウストラロピテクスが
僕に話しかける
何のメタファー?
覆い難き暴力性
真夜中のクロックワーク
きっとそれは
ゴブルディグーク
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「五体満足」じゃない僕は
明るく振舞わなければならないの?
身体が不自由な僕は
「SEXしたい」と言えないの?
男は女を愛し
女は男を
愛さなければいけないの?
そのアンケート
「男か女」
どちらか選ばなければいけないの?
家族を亡くした私たちは
他人の励ましに
応えなければならないの?
虐待する親から
離れて暮らせば
僕は幸せになれるの?
「人それぞれだから」
個性を尊重してるつもりなの?
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他人がかゆがっている箇所を
自分も掻いてみる人が
モラリストだとするならば
他人がかゆがっている箇所を
一緒になって掻く僕は
今のところ
モラリストではない
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無作法に挿した縦笛を取り出して
咥え吹く
昼下がり
給食に出た牛乳は
一気に飲み干せたかなぁ
カラフルなランドセルと
色取々の蛇の目が
いけない妄想を繰り広げさせる