詩人:松子 | [投票][編集] |
ぬれた髪の毛を指でかき分けながら
何気ない風を装ってる
たまたま出会えただけなのに
運命にしたい僕がいる
ポケットに入れた左手が
さっきから汗びっしょりなのを 君は知らないだろう
久しぶりに聞く君の声は新鮮で
久しぶりに並んで二人の成長を知る
少しぶつかった君の肩が
やけにやわらかくて あたたかく感じたのは
雨にぬれすぎたせいじゃない
こうしていると恋人同士みたいだから
いつまでもこうしていたいから
いっそのこと電車が事故を起こして
しばらく来ないでくれなんて
そんなこと考えたりもして
心弾む会話 無情にも来る別れ
君にとっちゃそんな大それたモンでもないんだろうけど
軽く手を振って 別れる自分に
今日も告白できなかったことに
安心と苛立ちをおぼえる
乗り込む電車の窓
それに映る自分の姿と
向こうの電車に乗る 君の後姿
反対方向に進むそれを
永いこと見つめながら
目をつむって 明日の試験のことを考えようとした