詩人:ワタナー | [投票][編集] |
むかし
地上に降りた鳳凰が言った
旅人よ
あの山を目指してはならぬ
あの山は険しい
地を行く人間には登れん
地の旅人は言う
だからあの山を目指す
鳳凰を無視し
山を目指す旅人
目の前の山は険しく
木々もほとんど生えず
地面は乾燥仕切っていた
旅人は道半ばで倒れた
しかし旅人は後悔しなかった
もっと楽な生き方があるだろうに
ただ旅人は
来た道を振り返る
地にはくっきりと足跡が残ってる
残る足跡のいびつな軌跡
旅人は天に向かい言った
いびつだ
格好悪い人生だった
あんたはそう思うかもしれん
だが空を飛べない俺だから
足跡を残さなきゃいかん
いつか俺のように
いつか俺のようにここを訪れる誰かが
俺の足跡の続きを作ればいい
そして
俺もこの山の天辺に立つんだ
そして旅人は逝く
また彼と同じ志を持つ
彼の足跡の続きを残す旅人を信じて
鳳凰は言う
大空を自由に飛ぶ私にも見えぬものがある
きっと
人間が翼を持たないのは、そのためなのだろう