色あせた写真の向こう側鮮明な思い出と共に今でも貴女は生きている貴女を失った苦しみは癒えなくとも良いんだ貴女の微笑の奥に見える寂しさも苦しさも俺は食い止める事も出来なかったんだから貴女の長い黒髪に指を絡めて梳く貴女の血で濡れた唇を見つめてみる今は、あの頃の貴女の言葉の端々の狂気に悲観するでもなく貴女は俺の母親だったから。そして何より愛おしかったから。墓石にフジバカマの花束を寄せて。今は無き貴女に40歳の祝福を。
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