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アルバトロスの部屋  〜 投稿順表示 〜


[403] 横這い
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横這いで進みながら
立ち上がる方法を考えている

空と地面に平行に挟まれて
時間という便利で憎めない概念に流されながら閉口する
地球が丸いってのは嘘だ
そう文句を言いたくなるけれど

すくっと立ち上がるだけ
それが簡単なようで実に難しい
全体像の見えないこの空間
狭い視野でただ脱する方法を思考する
まるで僕らは行き先の決まった流れ星だ

何をしていても迫られている
新聞を読んでいても電車に揺られていても
歯を磨いていても恋をしていてもそう
僕らは横這いでもがきながら
いつも何かに迫られている

迫っていきたい
そいつの核心に僕は迫りたい
すくっと立ち上がって一歩踏み出して
堂々と胸を張って歩きながら迫っていきたい

それが実に難しい
今日もまた横這いで思考するだけ

2013/04/26 (Fri)

[404] 境界線
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たしかに朝は夜の「次」だけれど
はっきりと変わるのはいつだろうか
境目はどこだろうか

夜の色は朝の色に
夜の匂いは朝の匂いに
夜のふたりは朝のふたりに

今日は夜通し起きてようか
ふたり寄り添って
お互いを確かめながら

朝の気配がしたら
ふたりで朝食の準備をしよう

2013/07/27 (Sat)

[405] 人工物
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人工物は取り残される
人の想いと共に取り残される
仏頂面した置き時計も
誇りをまとった本棚も

人工物は呑み込まれる
人の想いも意固地に守りながら
溶け込むように呑み込まれていくよ
今日も夕日に染まっていくよ

2013/11/08 (Fri)

[406] 濁して結ばず
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ホットココア
冷めないうちに
他人の悪口
いないうちに
明日の準備は
寝るまえに
夜更かしするなら
朝までに

当たり前の世界の真理
全てわかっていたいけれど
最後まで言うのはカッコ悪いわ

濁して結ばず
走り続けて想像させて

だけど戸締まりだけは
しっかりしてね
大事なものがあるうちに

2013/11/08 (Fri)

[407] しかめっ面に上っ面
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おはよう。
今日は寒いねぇ。

こんにちは。
髪を切りましたね。

さようなら。
また明日も頑張りましょう。

上っ面かな。
上っ面だよねぇ。
でも僕は嬉しいよ。
心の表面をなでられて僕はくすぐったいよ。
しかめっ面していた心が少し微笑むよ。
上っ面の言葉になでられて。

意味はないかもしれない。
でもそこに誰かの想いがあるよ。

2013/11/22 (Fri)

[408] 主語のない生活
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朝、目を覚ます
しばらく布団と一緒に丸まって
時間と一緒に寝過ごしちまう

目を開ければぼんやりと薄暗い
視点がなかなか定まらない
強引に静けさだけが聞こえる

起きなきゃね
行かなきゃね
思い通りにならなくても

布団が重くのしかかる
あんまり気分は良くないけれど
布団と一緒にはねのける

2014/03/08 (Sat)

[409] やっかいだ
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自分自身の意思で
進んで来たはずなのに
誰がこの今を望んだ?
自分だよな?
なんて自問自答して
いや自答のふりして
音はなく口をパクパク
電池の切れかかった
時計の秒針のように
小刻みに震えて
唇と舌の先が乾いて渇いて
でも振り向けば確かに
自分の軌跡は
電子化されて
風化せずに残っていて
ポンッと爆発させて
蒸発させて
空の青さに歪ませて

ああ やっかいだ

2014/07/11 (Fri)

[410] イコール
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君は何をしていても可愛い
だからどんなに願っても僕と君は他人だ

それは哀しくて
それは最高に素晴らしい

極端なイコールで
底なしの希望を未来に描く

自分のことはいくらでも否定的に
君のことはいつまでも肯定的に

答えを導かない永遠のイコール

2014/07/25 (Fri)

[411] 
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夜はただの時間帯のこと
そう言われてしまえば
確かにその通り

セロテープで朝と繋げて
つぎはぎのこの気持ちにそっくりだ

夜はこのよく知る空間のこと
そう思い込んでしまえば
生温い優しさ

そのまま朝に運んで
光のなかに霧のように消えていけ

君のいない夜が
君を想う気持ちに比例する
膨らんで醜い姿をぼかしていく
僕は誰かのふりして笑う

2014/08/02 (Sat)

[412] 止まれ
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僕らを現実に縛りつける空想の鎖
ひとつずつ外す
丁寧に慎重に

現実は音もたてずに消えるだろう
何も残しはしないだろう

という空想

ひとまず決めつけて
踏ん張って
そして走り出す
身体中にあらゆる感触を
気持ち悪くなるくらいに感じながら

存在するということに恐怖する
何もないということにも恐怖する
すべてフェイクで真実なのに

お互いを束縛する世界
優しい世界
誰も導かない世界
案内人のいないキリのない旅

2014/11/25 (Tue)
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